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最高裁判所第三小法廷 平成8年(オ)2271号 判決 1996年12月17日

宮城県塩竈市北浜四丁目一五番二〇号

上告人

佐藤仁寿

被上告人

右代表者法務大臣

松浦功

右指定代理人

渡辺富雄

右当事者間の仙台高等裁判所平成八年(ネ)第七五号損害賠償請求事件について、同裁判所が平成八年六月二〇日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 尾崎行信 裁判官 園部逸夫 裁判官 可部恒雄 裁判官 大野正男 裁判官 千種秀夫)

(平成八年(オ)第二二七一号 上告人 佐藤仁寿)

上告人の上告理由

○ 平成八年八月三〇日付け上告理由書記載の上告理由

平成八年六月一八日控訴人準備書面で主張したように、この平成八年(ネ)第七五号事件は、民事訴訟法第三五条「裁判官ハ左の場合ニ於テハ法律上其ノ職務ノ執行ヨリ除斥セラル、五 裁判官が事件ニ付当事者ノ代理人又ハ輔佐人ナルトキ又ハナリシトキ」とあり、裁判官が事件について、当事者の代理人、輔佐人であるとき、または、かってあったときは、除斥事因となる。代理人は、訴訟代理人、法定代理人をも含むのである。

上告人は、平成八年四月二五日控訴審口頭弁論期日において、小林裁判長に、口頭により、被控訴代理人伊藤氏が、前に裁判官だったことを例にあげ、公平な裁判になるよう、民事訴訟法第三八条<1>、<2>に基づき主張したのであるが、裁判長からの返事は、公平な裁判をするからとうこことであった。

控訴審において、裁判官、小林啓二氏及川憲夫氏佐村浩之氏の三人が、民訴第三五条の除斥原因がないことを明確にしないままの判決なので、上告人は、民事訴訟法第三五条に反した裁判であり、公平な裁判を受ける権利を侵害されたとして、控訴審判決を取り消す判決を求める。

この上告審において右の理由により、かつて国の代理人、訴訟代理人だったものは、担当裁判官になれないことになる。

よって最高裁においても除斥原因となる元行政官だった裁判官又国の代理人だった者がいるので、法に反しない公平な裁判にして下さい。

○ 平成八年九月二四日付け上告理由書記載の上告理由

平成八年八月三〇日上告理由書に対し、平成八年九月一八日(甲第一一号証)付仙台高等裁判所第二民事部より、上告理由が適法でないと決定があったが、平成八年八月三〇日の上告理由は、「絶対的上告理由」民事訴訟法第三九五条<1>左ノ場合ニ於テハ常ニ上告ノ理由アルモノトス、一 法律ニ従ヒテ判決裁判所ヲ構成セサリシトキ、二 法律ニ依リ判決ニ関与スルコトヲ得サル裁判官ガ判決ニ関与シタルトキ、の以上を理由として上告したものである。その内容理由は、平成八年八月三〇日の上告理由に記載した内容理由である。

右の事について上告理由なしと、原裁判所(仙台高等裁判所第二民事部)が、民事訴訟法第三九九条により、上告却下するならば、民事訴訟法第三五条の除斥原因がないことを明確にしなければならない。平成八年五月二〇日第一回口頭弁論期日より、上告人は、公平な裁判にする為、平成八年六月一八日準備書面と主張してきたが、仙台髙等裁判所は、無視をし、却下の判決をした。上告人は、平成八年六月一八日の準備書面において、民事訴訟法第三五条「裁判官ハ左ノ場合ニ於テハ法律上其ノ職務ノ執行ヨリ除斥セラルの五、裁判官カ事件ニ付当事者ノ代理人又ハ輔佐人ナルトキ又ハナリシトキ」に、仙台裁判所の裁判官が該当していないことを民事訴訟法第三八条「<1>第三十六条又ハ前条ニ規定スル申立ハ其ノ原因ヲ開示シテ裁判官所属ノ裁判所ニ之ヲ為スコトヲ要ス、<2>除斥又ハ忌避ノ原因ハ申立ヲ為シタル日ヨリ三日内ニ之ヲ疏明スルコトヲ要ス前条第二項但書ノ事実亦同シ」に基づき主張した。平成八年六月一八日の申立に基づき、仙台高等裁判所にした行為は、「口頭弁論期日または準備手続期日において、当該裁判官の面前で行なわれている除斥または忌避の申立ては、理論的には、その裁判官を通じて、裁判官所属の裁判所に対してなされたものと解すべきである。」を引用すると成立しているのである。又その疏明の方法は、「当事者の疏明は、裁判所に対して、除斥または忌避の原因が、一応存在するらしいという程度の心証を与えることをもって足りる。」とあり、この点については、平成八年五月二〇日の第一回口頭弁論より、口頭にて小林裁判長に主張している。

控訴審において上告人は、前述したように裁判の公平について主張し、それを成す為に民事訴訟法第三五条の五「裁判官カ事件ニ付当事者ノ代理人又ハ輔佐人ナルトキ又ハナリシトキ」に該当しないかを確認する為、民事訴訟法第三条に基づき主張したのであるから、小林裁判長はその除斥原因がないことを、民事訴訟法第三六条「除斥ノ原因アルトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ除斥ノ裁判ヲ為ス」に基づき証明すべきであったが、それしなかった為、現在においても除斥原因があるかないか、わからないのである。

よって控訴審は、民事訴訟法第三五条の五第三六条、第三八条<1>、<2>に反して構成した裁判なので、民事訴訟法第三九五条<1>の一、二に該当し、絶対的上告理由となる。

以上

(添付書類省略)

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